慢性疲労と病気-慢性疲労症候群-

どんなに休んでも疲労がなかなか抜けない…そんな悩みを抱えている方は病気の可能性も疑ってみましょう。とくに近年注目を集める機会が増えているのが慢性疲労症候群です。

慢性疲労症候群とはストレスなどなんらかの体の異常によって慢性的に疲労を感じる病気

慢性疲労と病気

この病気は名称が似ていることから慢性疲労と混同されることが多いのですがまったく別のものです。慢性疲労とは「疲労が蓄積して慢性化してしまった状態」なのに対し、慢性疲労症候群とは「なんらかの体の異常によって慢性的に疲労を感じる病気」のことを言います。似ているようで違うものなので注意が必要です。

 

近年になって注目を集めるようになった背景にはまだこの病気のメカニズムがまだ十分に解明されておらず、ようやく知られるようになったという面があります。そのため原因に関してもまだはっきりとわかっていません。特定の原因から起こるのではなく、さまざまな原因が重なることで体に異変が生じて疲労が蓄積しやすい状況を作ってしまうのではないか、と考えられています。

 

そのいろいろな原因には疲労の蓄積のほかストレス、ホルモンバランスの乱れなど幅広い範囲が想定されています。つまり日常生活を送っているなかで誰でもこの病気を発症させてしまう可能性がある、ともいえるわけです。こうした要因が体内に潜伏しているウイルスを活性化させることで免疫物質が過剰に生成され、脳に影響を及ぼすことで疲労感や倦怠感といった症状を引き起こすと考えられています

慢性疲労症候群は睡眠障害や筋肉痛、うつ病に似た精神面の影響もでることも

慢性疲労と病気

このように体内のメカニズムの異変、とくに脳の異常がかかわっている病気ということもあり、慢性的な疲労以外にもさまざまな症状が見られることがあります。代表的なところでは睡眠障害や筋肉痛。疲労感を抱えたまま思うように睡眠が取れない、逆に過剰なくらい眠気に襲われるといったケースが見られるほか、とくに激しい運動を行ったわけではないにもかかわらず特定の筋肉に激しい痛みが伴うことがあるのです。

 

さらに厄介なのはうつ症状にも似た精神面への影響が及ぶことがある点です。体が疲労感に襲われた状態で気分がうつ状態に陥ってしまうことで非常に辛い思いをすることも多く、しかも周囲から理解を得にくく、「なまけている」など心ない評価を受けてしまうこともあります。ほかには頭痛や微熱などの身体症状が見られることもあります。

 

このように、れっきとした病気なので慢性疲労症候群の対策では単に休息をとるだけでなく、医療機関による役立つや漢方薬を用いた治療が必要です。まだ世間的に認知されていない病気なだけに気になる症状が見られた場合には治療を行っている病院を探して早めに対策に取り組む本人の姿勢が求められます。

慢性疲労と病気-甲状腺機能低下症-

慢性化した疲労がズルズルと長く続いている場合には甲状腺機能低下症の病気を疑ってみる必要もあります。とくに中高年の女性はこの病気のリスクが高く、男女比は1:9ともいわれています。

甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンの分泌量が低下することで発症してしまう病気

慢性疲労と病気

甲状腺は日々の生活の中であまり意識する機会がない器官ですが、エネルギーを生成するうえで非常に重要な役割を担っています。たんぱく質やアミノ酸といった栄養素は摂取するだけではエネルギーに変換されず、この甲状腺の働きによってエネルギーとなるのです。また基礎代謝の維持、体の成長を促す、体温を維持するといった働きも担っています。こうした働きを見ただけでも疲労と非常に密接にかかわっていることがうかがえるというものです。

 

エネルギーがうまく作られなければ疲労を感じやすく、回復しにくくなってしまいますし、体温の低下は血行不良や冷え性の原因になることで全身に酸素をいきわたらなくさせ、倦怠感や疲労が抜けにくい体質をもたらします。基礎代謝の低下も疲労の回復を遅らせる大きな原因です。

 

甲状腺機能低下症とはこの甲状腺から分泌されている甲状腺ホルモンの分泌量が低下することで働きが低下してしまう状態を言います。女性が圧倒的に多い病気ですが、この病気を潜在的に抱えている方は全国で2000万人を超えている、という日本内分泌学会のデータもあります。こうしてみても決して特殊な病気ではなく、また知らず知らずのうちに慢性疲労の原因になっている可能性も非常に高いわけです。

甲状腺機能低下症はヨウ素の欠乏または過剰摂取、薬物の影響でも起こる可能性も

慢性疲労と病気

症状としては慢性疲労のほかに倦怠感、睡眠障害、便秘、むくみ、抜け毛、無気力、動悸、記憶力・集中力の低下などが見られます。女性の場合は月経過多の症状が見られることも。心拍数の低下、寒がり、発汗量の低下、皮膚の乾燥といったなかなか見極めづらい症状が見られるのもこの病気の特徴です。

 

ではどうしてこの病気が起こるのか?いくつかの原因が指摘されています。まずヨウ素の欠乏または過剰摂取。とくに現代では過剰摂取が大きな問題とされています。ほかには他の病気のために服用している薬物(うがい薬なども)の影響でも起こりえます

 

甲状腺機能低下症は自然治癒しないため、必ず医療機関で適切な治療を受ける必要があります。薬物療法によって不足している甲状腺ホルモンを補うことで改善できるのでそれほど重篤な病気というわけではないため、原因不明の慢性疲労に悩まされている方は他の症状もチェックした上で一度医療機関でこの病気の検査を受けてみてはいかがでしょうか

慢性疲労と病気-子宮内膜増殖症-

女性に見られる慢性疲労をもたらす病気の一つに子宮内膜増殖症というものがあります。それほど症例は多くないのでリスクは少ないともいえるのですが、その分慢性疲労と結び付けて考えるのが難しく、病気が発症していても気づかないという問題点もあります。

子宮内膜増殖症はホルモンバランスの乱れで子宮粘膜が過剰に増殖してしまうこと

慢性疲労と病気

この子宮内膜増殖症とはその名称の通り子宮の内側を覆っている子宮粘膜が過剰に増殖して厚くなってしまう状態のことです。名称が似ているので子宮内膜症と混同されやすいのですが別の病気です。

 

症状には2つのタイプがあり、細胞が正常な状態で増殖だけが進んでいる状態を「子宮内膜増殖症」、増殖だけでなく細胞が異常な状態になってしまっている状態を「子宮内膜異型増殖症」と呼んでいます。治療の際には検査のうえでどちらの状態なのかを見極めたうえで適切な治療方法が選択されることになります。

 

おもな原因はホルモンバランスの乱れ。子宮内膜は妊娠するうえで非常に重要な役割を担う器官ですが、月経周期の中で月経から排卵までの間に増殖して厚みを増していきます。これはこの時期に分泌が多くなるエストロゲンの影響によるものです。このメカニズムが正常な範囲内なら問題ないのですが、エストロゲンが優位になりすぎてしまうと子宮内膜の増殖が過剰になり、この症状が起こってしまうのです。

子宮内膜増殖症は疲労感や動機、月経不順などがズルズルと続いてしまう

慢性疲労と病気

こうしたケースが起こる背景には肥満のほか黄体機能不全、多嚢胞性卵巣症候群といった健康上の問題のほか、更年期によく行われるホルモン補充療法の影響(とくに長期的なホルモン投与)が挙げられます

 

この病気の症状のひとつとして疲労感が見られるほか、動悸や月経不順、出血が多くなることによる貧血、体のだるさ、倦怠感なども見られます。ですからこれらの症状がズルズルと続いている場合には疑ってかかる必要があるということになります。

 

問題なのはこの子宮内膜が増殖している状況が腫瘍化して子宮体がんにまで進行しないかどうかです。細胞に異常が見られないタイプの場合は症状が軽度のことが多くとくに治療を行わず経過観察だけで済ませることも多いのですが、細胞に異常が見られる異型の場合は腫瘍になる可能性が高く、薬物療法や手術による切除などが行われます。今後妊娠を希望するかどうかによって治療の選択肢が異なってきます。

 

症状の8割はとくに治療を行わなくても深刻な問題を引き起こすことはないといわれていますが、腫瘍のリスクを考えると少なくともできるだけ早く医師のもとで検査を受けて適切な対策方法をとる必要があります。それだけに月経不順などがともなう慢性疲労を抱えている方はこの病気のことを頭に入れておきたいところです。

慢性疲労と病気-うつ-

現代人は心の病を抱えるリスクが高いといわれ、その対策が社会全体で求められるようになっています。そんな心の病気の代表格がうつですが、どんな症状をもってうつと判断するのか、どういった対策を行っていけばよいのか、見極めが難しいという問題も抱えています。

自律神経の乱れにより血行不良や不眠症をもたらすことで疲労を蓄積しやすくさせてしまう

慢性疲労と病気

そんなうつを見極める重要なポイントの一つが慢性疲労や倦怠感です。うつ病と診断された人の多くがこの症状を抱えることが多く、やらなければならないことがたくさんあるにもかかわらず体が動かない、やる気が出ないといった症状に襲われて辛い思いをする環境が多く見られます。

 

ではどうしてうつが慢性疲労をもたらすのでしょうか?これにはさまざま要因が関与しており、しかも個人差があるので一概に言えない部分があります。これもうつの扱いが難しい理由のひとつでもあるのです。

 

考えられるのはまず自律神経の乱れ。過剰なプレッシャーや不安にさらされた生活はうつの大きな原因になるといわれていますが、こうした環境は交感神経を優位な状態を導き、脳に過度な興奮状態を強いてしまいます。その結果精神状態が不安定な状態になるだけでなく、血行不良や不眠症をもたらすことで疲労が抜けにくく、蓄積しやすい環境を作ってしまうのです。

慢性疲労や倦怠感を自分の怠け癖のせいと思い込んでさらにうつ症状を深刻化してしまうことも

慢性疲労と病気

夜ベッドに入っても目が冴えてなかなか眠れない、さらには将来への不安や絶望感、うつを抱えている自分への否定的な意識などに苦しめられながら何時間も眠れずに過ごす…といった非常に辛い状態に晒されてしまうこともあります。そんな環境が毎日続いていれば疲労が蓄積してしまうのも当然というものでしょう。

 

また自律神経が不安定になることで副交感神経が優位になってしまう場合もあります。こちらは交感神経とは逆に心身をリラックスさせる働きがあるのですが、それが過剰に優位になると倦怠感やだるさに襲われるようになってしまうのです。倦怠感と無気力によって1日中ぼうっとしている、朝なかなか起きられないといった悩みを抱えてしまい、疲労だけでなく焦りや自分は無能でどうしようもない、といった罪悪感・自己嫌悪を抱えてしまうこともあります。

 

このようにうつは慢性疲労と深くかかわりつつ、それだけではすまない影響を心身に及ぼします。まじめで何事もにも一生懸命な人ほどうつになりやすいともいわれており、慢性疲労や倦怠感を自分の怠け癖のせいと思い込んでしまうことも多いといいます。精神的に辛い状態と慢性疲労を抱えてしまっている方は自分ひとりで抱え込まず、医療機関で診察を受けるなど適切な治療と対策を取り入れるようにしましょう。